第2日目:第11番札所〜第12番札所@徳島 天氣:曇り⇒雷雨
さてさて、いよいよ今日は88ヶ所の中でも特に難関と言われる通称『遍路転がし』に挑む。
正直、自分なら乗り越えられる、とそう想っていたノビーはこの後痛い目を見ることになる・・・
早朝5時起床。早朝6時過ぎ、宿坊を出発。
早朝の走行がこんなに氣持ちいいとはそれまで知らなんだ。

出発してから約1時間経過。阿波中央橋を通過する。
下に流れるは吉野川だ。

途中、江川湧水源に立ち寄る。
詳細ははぶくが、1985年3月、当時の環境庁から、
『日本名水百選』に指定されたらしい。
手ですくって口に含んでみたが、うん、『日本名水百選』と聞くと
うん、めっちゃうまい!!・・・そんな氣がする。
名水だろうがなんだろうが、
本人がうまいと想えれば、それでいいのさ。

午前7時半過ぎ。第11番札所藤井寺(ふじいじ)(写真左)に到着。
山門からして、かなり古い寺だ。
すでに歩き遍路の方たちがすでに到着してお参りを済ませていた。
さて、ここからが今日のハイライトってところだが。
まずは県道31号線『梨の木峠』に入る。
しかし初めて経験するような上り坂がノビーを待ち構える。
角度が20度はあるような斜面だ。とても自転車で上れる坂ぢゃあない。
というか、非力なノビーには上れん。自転車を押しながら歩いて進む。
上っても先が見えない。というかくねくね曲がっているためちっとも先に進んでいる氣がしない。
そういえば氣がつかなかったが、さっきまで快晴だったはずなのに、
いつしか霧が立ち込めている。峠の途中で下の景色を撮ったが全然何も見えない。
しかも朝早いこともあって車の往来も人氣もまったくない。
たまに通り過ぎる車は無常にもあっさり通過していく。
なかなか先に進めない、というよりは
(ここで熊が出没したらどうしよう)そんな勝手な不安がどんどん大きくなる。
でもね、いまさら元には戻れないのさ。この辺はノビーのいつものパターンだ。
進むだけ進んで弱氣になってももう後には引き返せないところまできちゃった。
だからこのまま突き進むしかない、というパターンだ。
時計をもってなかったので、どのぐらいの時間上ったかわからない。
たぶん2〜3時間はずっと上り続けていたはずだ。
そのとき前で一服しているオジサンがいた。オジサンは私を見て、
『ようここまで上ってきたなぁ、後はもう下り坂や』と教えてくれた。
おぉ!?ついに峠を越えたらしい。急に元氣が出てきたぜ。
スピードに乗って、一氣に坂を下る。『峠』とはよく言ったものだ。
山へんに『上』『下』とある。つまり上った分だけ下りもあるということだ。
途中、岩から水が染み出している場所を見つけて休憩する。
すんげぇ冷たくてうまい!たぶんここを知っているのは私だけだろう。
・・・ってそれは言い過ぎか・・・
しかし、この道は大型トラックもよく通過する。
コワいのはトラックが横を通過する際、その引力(?)に引き寄せられることだ。
何とか峠を無事越える。ところがそれはまだ目的地の半分にも満たなかった。
神山町神領に入り、さてこの後どう進むか?思案していたら、自転車の後輪が急に重くなる。
(まさか!?)ノビーの予感は的中した。オーマイガッ!?またしても後輪がパンクしたのだ。
おいおい、出発直前に直してもらったんちゃうんかい!?さすがの私もちょっとキレた。
どこかで修理してもらわなければならない。
当時うかつにも私は替えのタイヤチューブやパンク修理用キットを用意していなかった。
近くに理容店があったので教えてもらう。そこは自動車修理工場だったが、普通の自転車ならOKとのこと。
自転車にもピンキリあって、タイヤに空氣を入れるためのバルブが特殊なものだと直せないらしい。
見てもらったところ、幸い、私のそれは通常の自転車のものと同じだった。
修理工のオジサンから、第12番札所焼山寺(しょうさんじ)に行くためには
県道43号線に入ると、そこからまっすぐ進むだけだと教えてもらった。
20分後修理完了。11時30分。氣を取り直して再度出発だ。
というか、この時点で第11番札所藤井寺(ふじいじ)からはゆうに3時間半を超えていたことになる。
さぁ、いよいよクライマックスだ。・・・と言いたかったのだが、この県道43号線が最後の難関だ。
実際に上ってみた者の感想として、確かにここで脱落者が続出するのは当然だとおもった。
梨の木峠並みの上り坂のため、自転車でなんか上れやしない。
自転車を押して歩くも朝と比べて自転車が重い。
自転車も乗っているうちはいいが、そうでなければただの鉄のお荷物に過ぎない。
さすがに身体も疲労してくるし、なんといっても日差しの照りがものすごい。
だから、日陰をみつけては休んで、また進んでそしてまた日陰で休んで・・・
この繰り返してちっとも先に進まない。
本当に到着するのか・・・午後1時を過ぎ、本氣で不安になってきた。
しかも私は水分補給用の水を持ち合わせていなかった。準備不足にもほどがあるってもんだ。
のどはカラカラだが、うるおす手段がない。正直いつ脱水してもおかしくない状態だっただろうな。
そんな中、私と同じように自転車遍路をしている3人の大学生に出会う。
その中の一人はアメフト経験者らしく、上り坂を強引に自転車で上っていく。

杖杉庵(じょうさんあん)にて逆打ち
(※きゃくうち:1番から順番にではなく88番から逆に札所参りをすること)
をしている小吉(こよし)さんと出会い、話を交わす。
先に出会っていた3人の学生とも合流。
一緒にいてしばし話をする。
学生たちと先に別れた後、小吉さんと2人で話したが、いわく、
『複数で一緒に回っても一人ひとりのペースは違う。
だから誰かに合わせようとするとお互いがおかしくなるよ』
なるほど。私が基本想っていることと一致する。
小吉さんと別れてさらに先に進む。途中またしてものどの渇きに我慢できず、
民家に立ち寄り水をもらう。

そして、『徒歩で近道のこり1.4km』というところまできた。
ついにゴールが見えた、そんな氣におもえる。
ここで自転車を置いて歩くことに決めた。とはいえ、のぼりが続くことに変わりはない。
(さすがにもう歩けねぇ・・・)そう想ってしばらく道端で座り込んでいたら、
途中空模様が急に怪しくなる。
まずいな・・・そう想っていた矢先、悪い予感は現実となる。
モーレツな雷雨のシャワーがノビーを襲う。ただの雨ぢゃない。土砂降りだ。
でも皮肉なことに、この雨が私の体の熱を冷まし、再び立ち上がることができた。
自分でもびっくりするくらい足がどんどん先に進む。
でももうこの後からの記憶がない。相当無中だったんだろうな。

そして、午後2時10分過ぎ。
ついに第12番札所焼山寺(しょうさんじ)(写真右)到着。
あまりの土砂ぶりの雨で景色は真っ白。
でも正直、着いたことに対して感動はなかった。
(あぁ、やっと着いたんだ・・・)全然淡々としていた。
というか、雨に降られて体がすっかり冷えておりそれどころぢゃなかったというのが
正直の感想だった。。
写真でわかるだろうか。山門から撮ったが、
『超』がつくほどのものすごい大雨なのだ。
しかし、この日は自分の33年の人生の中でも忘れられない一日となった。
さぁ、今日の目的は済んだ。お参りを済ませたら後は元来た道を戻るだけだ。
自転車なので下りはあっという間だ。風になった氣分でめっちゃ氣持ちいい。
というか、逆に言えばそれだけ険しい上り坂を上ってきたともいえるわけだ。
今日はもうここで打ち止めにしよう。
本来なら次の第13番札所大日寺(だいにちじ)まで向かう予定だったが、
とても次になんて進めやしない。神山温泉近くの民宿に夕方4時ごろに到着。
服はおろか、リュックも中の着替えや本も何もかも全部びしょ濡れになってた。
雨ガッパを着るのが遅すぎたし、何よりリュックを覆うのをすっかり忘れていた。
一般的に『山の天氣は変わりやすい』とは言われるが、
ここまで急変したのを経験したのは今日がはじめてだ。
おかげでよい教訓にはなった。
雨が降ったら自分自身はぬれても、着替えだけは守らねばならない。
さもなければ外に出たくても出られないのだ。
(本当は神山温泉に行きたかったがそれで断念した。今も悔やまれる・・・)
夕方5時ぐらいにはすでに雨は上がりすっかり青空がよみがえっていた。
あまり『疲れ』を知らない私だが、今日は本氣で疲れた。
明日はもっと楽にいきたいものだ。
テレビで反町隆史主演のドラマ『象のはなこ』を見て涙ぐんでから就寝した。
(第3日目に続く)
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