第11日目:第38番札所 天氣:いつまで続くのこの猛暑!?とおもえるほどの快晴
今日はいよいよ足摺岬(あしずりみさき)へ向かう。
昨日も言ったが、その距離にして約95km。最も長い旅路だ。
当然のように、午前5時出発する。いつものことだがまだ空は真っ暗だ。
ニワトリすら朝の訪れを告げていないってのに。まったくご苦労なこった、我ながら・・・。
延々続く上り坂を覚悟していたが、予想に反して県道56号線は下り坂が多い。
確かに距離は長いが、実感として自転車で走る分にはそんなに問題ではない。
道中、他の歩き遍路さんを通り過ぎていく。
不謹慎かもしれないけど、軽〜く通り過ぎていくのがめっちゃ氣持ちいい。
まぁ、私の性格の悪さは今にはじまったことぢゃないが・・・
下田ノ口交差点を曲がり県道42号線に入る。四万十大橋をとおる。
そして県道321号線に入ってこのまますんなり到着・・・というわけにはいかなかったのよね。
本来ならば海沿いの27号線を進む予定だったのだが、
なぜか県道321号線を進みすぎたらしい。
『第38番札所金剛福寺(こんごうふくじ)●●km』の案内どおりしたがって
いつしか内陸の県道348号線に入り込んでしまった。
午前10時50分。このまま進めばあと足摺岬まで13kmというところまできた。
金剛福寺(こんごうふくじ)と足摺岬は目と鼻の先にあるため、
実質あと10kmちょっとというところまで来たことになる。
これも『ランナーズ・ハイ』ということなのか、
80km以上走ると10kmも13kmも身体的にはそんなに変わらなくなってくる。
とはいえ、3kmは3kmなのだが・・・
いったん戻って県道27号線に移ることもできたのだが。
『えぇい、あと13kmならこのまま(県道348号線を)行ってしまえ!』と
そのまま進むことを決意。これがそもそもの誤りだった・・・
後でわかったことだが、この県道は自動車やバイク用のスカイラインだ。
くねくね蛇行する道に、そして立ちはだかるのはやっぱり上り坂。
自転車を押して歩く。
坂もいったん先が見えなくなれば後は下りに変わるとおもいがちだが、
いったん平地に変わるだけの話でまた上りに・・・そんなパターンが続く。
いつもおもうことだが、なぜか道が分かれていて自分が選ぶ道には
他のお遍路さんが誰もいない。というか、人氣(ひとけ)がない道ばかりだ。
そしてそんな私を後ろから家族連れの乗用車やバイクがジャマくさそうに通り過ぎていく。
午後13時を経過。結構進んだつもりだったが、途中休憩所で確認したらまだ4kmしか進んでいない。
残り約9km。今日はすんなり行ける!とおもっていたのに。
やっぱり私の癇癪が爆発する。自分で選んだ道のくせに。
『何なんだよ、こんなんぢゃ着かねぇぢゃねぇかよ!?』
おもいっきり悪態をまき散らかしながら自転車を押し続ける。
情けないことだが、悪態もまくだけまいたらあとは泣き言に変わる。
『こんなんぢゃこのまま野宿になっちまうぢゃねぇかよ』
まだ14時にもなってないってのに。我ながら泣き言を言う時間帯が早すぎる。
とはいえ、文句を言っても何も変わらないので手と足は動き続けているのだが。
そのうち、もはや言葉さえ発することができなくなっていた。
そんなときだ、やっと峠は越えたらしい。目の前には下り坂が。
『何だ、やっぱり下りもあるんぢゃんか』ほっとしたが、氣は抜けない。
調子に乗ってスピード出しすぎてすっ転んだりしたら、全部おしまいだ。
このごろから下り坂を下るときには自分の頭の中でBGMを流すことにした。
ガンダムの『シャアがくる』というタイトルのサウンドトラックだ。・・・って知らないか・・・
強敵が迫ってくるようなリズム感が、自分に
『対向車が来るぞ、氣ぃ緩めるんぢゃねぇ』
といましめる感じがピッタリだ。
ブツブツ口でリズムを刻みながら、坂を下る下る・・・
BGMのおかげで自分がアムロ・レイになったような錯覚にさえ陥る。
坂を一氣に下って、街中に出る。街中といっても、観光街だが。

13時20分。第38番札所金剛福寺(こんごうふくじ)に到着。
なんだ、おもっていたよりも全然早く着いたぢゃないか。
正直、ちょっぴり拍子抜けしてしまった。
まぁ、やってみたからこそいえることだが。
氣がつけば、それまで風景や何やを写真に撮り忘れていた。
95kmの距離なんて走ったことないので、そんな余裕があるわけもないが。
・・・ってのは言いわけか・・・

大師堂では戸が開いていて、弘法大師の像がおがめたので
1枚おさめてしまった。
勝手に撮ってしまってよかったのだろうか・・・?
とはいえ、何とか無事に着いてほっとした。
ほっとすれば当然腹がすく。

近くの定食屋でカツオめし丼を注文した。
おもえば、高知に入って6日目だったのに、
ついぞカツオを食ったことがなかった。
下の海岸を見下ろしながらの食事はまた格別だった。
すっかり平らげてから足摺岬へ向かう。

そういえば、ここは四国の最南端だった。
画面右に見えるのが足摺岬の灯台だ。
毎週『土曜ワイド劇場』で使えそうな画だとおもったのは私だけか・・・
しかし6日間かかったとはいえ、室戸岬から足摺岬まで、
土佐湾沿いに自転車でずぅっと走ってきたことになる。
興味があったら日本地図で高知を見てみてちょ。
宇多田ヒカルの新曲ぢゃないが、
『どんなことでもやってみて損したって少し経験値は上がる』のは確かだ。
私でもやればできるもんだ、うん。
14時半。今日宿泊予定の足摺のユースホステルに到着。
前日に予約したのだがそれでも相部屋だった。まぁたまにはいいだろ。
それよりも33歳にもなってユースぢゃねぇだろ、と我ながらおもったが、
相部屋の他の2人も20代後半と35歳だった。
2人ともバイクで四国を一周している途中だという。
『普段何時ぐらいに出発しているんですか?』と聞かれたので
『最近は5〜6時には出てます。今日は5時ですね』とさらっと答えたら
2人とも絶句していた。
とりあえず、この旅路一番の長丁場は越えた。
しかし、この後も長旅が続くことは変わりがない。
次の第39番札所延光寺(えんこうじ)までは約75km。
明日もやっぱり5時起きなのよね・・・
(第12日目に続く)
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